[長文]ジャンプの着地のお話
皆様こんにちは!カトルカールバレエスタジオTOKYOの高橋一輝です!
今日はジャンプの着地についてのお話をさせて頂こうと思います!
長く難しい話が連続しますので、気合を入れて読んでください!
バレエといえば軽やかで重力から開放されたかのような跳躍が特徴的ですが、やはり全ての物体は重力に引っ張られるわけですから必ず着地します。
この着地にが疎かになってしまうと、ドスンと重そうな音がしたり、突き指や足首の捻挫、脛骨の疲労骨折、腰痛など様々な悪いことを招いてしまいます。
- まずは着地の動きを確認する
- 低いジャンプから
- 着地の足の本数によって負荷の強さが変わることを理解する
- 良い着地をしていると筋力が付き、跳躍力も付く
- 踊りの質が上がってくる
step1.まずは着地の動きを確認する
ジャンプを練習するときに、まずは着地の動きを確認しましょう。準備動作の1番のプリエから爪先が床から離れない程度に体を跳ね上げてみます。小さな動きで十分です。数回繰り返すと、ルルベから降りてくる動作が着地に含まれているのが分かると思います。このルルベから降りてきてプリエに連携していく動作が着地の動作です。着地の動作全域に渡って上からの落下エネルギーを吸収することで、スムーズかつ安全な着地を実現させています。
※このとき足首だけを捻って開いていると、足首の支えが効きません。膝とつま先の向きを一致させるように注意します。足首を捻ってかかと前にする着地は事故的な怪我と、長期的な慢性痛の原因になります !!
step2.低いジャンプから
次はつま先が床からほんの少し離れるくらい跳んでみましょう。床から離れてもstep1で確認した動きをしっかり使うようにしましょう。あえて低く跳ぶようにしたほうがいいです!高く跳ぼうとしてしまうと空中で反ってしまったり、プリエでお尻がでてしまったりします。
『これじゃ全然跳べないよ!!!』って声が聞こえてきそうですが、それでいいと思います。安心してください、徐々に筋力が付いてきます!!動きと筋力の獲得までに長い期間を要しますが、ここを焦らずじっくり取り組むことが後々大きな差につながってきます。
step3.着地の足の本数によって負荷の強さが変わることを理解する
さて着地の動きも筋力もだいぶ付いてきたと仮定しまして次の段階のお話をしましょう。
「着地の足の本数」とは両足着地か、片足着地かということです。着地時にかかる落下エネルギーが80だとすると、両足着地なら40:40ですが、片足着地では80:0になります。負荷は倍になります。つまり両足着地と同じ高さを跳んでしまうと、着地力のキャパを超えてしまうんですね。なので、何本足で着地するかを跳ぶ前に知っておいて、着地できる高さまでにコントロールして跳ぶ必要があります。
ジャンプは以下の5つに分類されます。
- 両足とび両足着地
- 片足とび両足着地
- 両足とび片足着地
- 片足とび同じ方の片足着地
- 片足とび違う方の片足着地
「???」となっていそうなので、バレエのパに置き換えると
- 両足とび両足着地 「ソテ、シャンジュマン、エシャペetc」
- 片足とび両足着地 「アッサンブレ」
- 両足とび片足着地 「シッソン」
- 片足とび同じ方の片足着地 「タンレベ」
- 片足とび違う方の片足着地 「ジュテ」
となります。これは難易度順に並んでいます。両足着地は比較的簡単で、片足で着地してもう一度跳ぶのは結構大変ですよね?最後の片足から違う方の片足着地はグランジュッテやアントルラッセなど大技の区分です。
上から順に、一つずつクリアしていかないと、決死の覚悟で難しいジャンプに挑戦することになります。そもそも怖いでしょうし、無理にやっていれば怪我をしてしまい、せっかくの本番に出演できないなんてことも多分にあります。
焦らず一個ずつ筋力を付けつつ、習得しましょう。
上の表は概ねいつものセンターレッスンのジャンプの順序に対応しています。つまり、ジャンプのやり方を習得した後も、着地の難易度順に反復練習をしているのです。
step4.いい着地をしていると筋力がつき、跳躍力も上がる
悪い着地というのは、骨が床に衝突する力or靭帯に重さを預ける動きを使って落下を止めています。つまりあまり筋肉を使っていないのです。しっかりといい着地をしていれば、必然的に筋肉を使いますから、しっかりと筋力がつきます。(筋力がついても足が太くなることはないのでご心配なく!)
しっかり筋力がつけばスタミナも向上しますし、ステップも滑らかになります。そして跳躍力も上がります。
骨や靭帯を痛めてしまうと3ヶ月から9ヶ月ほど治癒期間が必要ですが、筋肉痛なら長くても5日程度で治ります。どちらを使うべきかは明らかですね!
step5.踊りの質が上がってくる
そして着地が強く安定していると、上半身の力みが取れてきます。もし床と衝突するタイプの悪い着地をしていたら、その衝撃で上半身もブレてしまいます。そのブレを無理やり止めているのが上半身の力みです。
しっかりと筋肉でコントロールして着地していれば、上半身への影響を減らせますから、思い通りの伸びやかなポールドブラが使えるわけですね!
長い説明を最後までお読みくださりありがとうございました!最後に簡潔にまとめます!
「着地力をつけてから高く跳ぼう」
このお話が皆さん役に立ち、健康で美しく踊る手助けになれば幸いです!
楽しんで踊ってください!!!お疲れ様でした〜!